債務整理 FAQ 1
掲示板によく書き込まれる疑問集です。
他のコンテンツと重複するものも多いですが、掲示板に書き込む前にひと通りお読みください
債務整理とは何か?
債務(=借金)を整理することが「債務整理」ですが、このサイト内では特に何らかの法的な手段で借金を整理することを「債務整理」と言っています。
債務整理には、現金の借入分だけでなく、クレジットカードなどでの買い物の分も含めることができます。
ただし、この場合はクレジット会社からその商品の返品を求められることもあります。
ベル法律事務所 法律相談ののひろば
さいわい総合司法書士事務所(認定司法書士が債務整理全般を解説)
よく、自己破産と債務整理は別の物だと思っている方がいますが、自己破産も債務整理の一手段です。
主な債務整理の手段には以下のようなものがあります。
自己破産
債務が返済能力を明らかに上回った場合に取る方法です。
原則として不動産や車など資産価値のあるもの(売却価格が概ね20万円以上の物)は処分する必要がありますが、家財道具や家電製品などは、余程のぜいたく品以外は取られるようなことはありません。パソコンもすぐ価格が下がってしまいますので、余程の新品でない限りはあまり心配する必要はありません。
また、当面の生活費として、99万円までの現金を手元に残すこともできます。
破産しても、戸籍に載ったり、選挙権がなくなるようなことはありません。不動産などを持っていなければ、引越しも普通にできます。
裁判所で破産宣告を受けると、「資産がまったくない」ということが認められたことになりますが、それだけでは借金の返済は免除されません。
借金の返済を免除してもらうためには、さらに裁判所から「免責」の決定を受ける必要があります。
借金の原因が極端な浪費やギャンブルだったり、ハナから返すつもりのない詐欺的な借入れだった場合、免責が降りない場合もありますが、まったく免責されないのは、極度に悪質な場合に限られるようです。
自分の借金が免責不許可事由に当たるのでは、という不安がある人でも、最初から諦めずに、専門家に相談してみてください。
- 同時廃止事件と管財事件
裁判所に破産を申立てると、裁判所は「破産事件」として「事件番号」を付与します。破産事件は、破産を申立てた人の保有資産などの状況によって、「同時廃止事件」と「管財事件」に分かれます。
資産も重大な免責不許可事由もない人は「同時廃止事件」となり、管財人はつかずにすぐに破産・免責決定を受けることになります。多くの個人債務者はこのケースに当てはまるはずです。
一方、家財道具や99万円までの現金以外に、不動産などの大きな資産や預貯金、高額な保険解約払戻金などがあると「管財事件」となり、「破産管財人」がつくため、通常の破産手続き費用のほかに、管財人費用が別途かかります。
この場合、退職金見込額(現時点で退職した場合に受け取る退職金相当額)の一部も手続き上は資産とみなされ、退職金見込額の8分の1程度の金額を納める必要があります。
(退職金見込額の8分の1が20万円に満たない場合は免除されます)
破産管財人は、債務者の資産を調査し、売却したり競売にかけたりして、債権者に売却益を按分します。このため、同時廃止に比べると、管財事件は費用も時間もかかることになります。
2005年から施行されている、新しい破産法のもとでは、免責不許可事由のある破産申し立てについても、管財事件にする裁判所もあります(免責調査型管財事件)。管財人が借金の経緯などを調査した上で、特に悪質性の高い借り入れの場合、一部を債権者に返済した後で、残りを免責するという形で、本来は免責不許可になるような人にも免責を与えるようにしているようです。
また、破産申し立て以前から、給与などの強制執行を受けていたり、すぐにでも強制執行されそうな人も、強制執行を止めたり、回避するために、管財事件とする運用をする裁判所もあります。
- 資格制限
破産宣告を受けると、資格制限により、特定の職種に就くことができなくなります。
弁護士・司法書士などの士業、金融業者や保険外交員、警備員など他にもいくつかあります。
しかし資格制限は免責を受ければ解除されます。破産宣告から免責決定までの期間は裁判所によって異なりますが、長くても半年程度で済むはずです。
最近は、破産と免責の尋問を、同日に行う裁判所もあり、この場合は実質的な資格制限はないのと同じです。
- 破産すると、金融業者に嫌がらせをされる?
一部の悪質なヤミ金業者以外は、破産したからといって、脅かしたり嫌がらせをしたりするようなことはありません。
もちろん、そのような脅しや嫌がらせは、違法行為です。
金融会社は「企業」です。1円回収するために5円の経費がかかれば、それは「赤字」となり、回収しない方が得だということになります。
法的に返済義務の無くなった人を脅しても、そこまで行く交通費や電話代がかかるだけで、企業にとっては何のメリットもありません。又、脅す行為は当然違法であり、金融業の場合は脅した本人だけでなく、会社も処罰の対象になりますから、脅してもリスクばかりで、何のメリットもありません。
金融業者にとっては、任意整理などで元金だけを長期間かけて返済されても、利息収入はゼロなので利益は1円もありません。
破産してもらった方が一気に「損金」として計上できるので、ありがたい場合もあります。損金が出れば、トータルの売上高が減ることになり、結果法人税が少なくなります。
従って、金融業者も、破産した人を脅かしに行っているヒマがあったら、まだきちんと約定通りの利息で返済してくれる可能性が少しでもある人に取り立てに行ったほうが儲かるわけです。
任意整理
主に弁護士を代理人として各債権者と話し合い、概ね3年間で分割返済していく方法です。
弁護士は、本人の返済能力に合った返済方法を交渉してくれます。
この返済額は、借入当初にさかのぼり、利息制限法に基づいて利息を再計算(「利息が減る?」の項参照)し、さらに将来利息をカットした金額となる場合がほとんどです。
借金女王はこの方法を選択しました。
このような減額の交渉は、個人的に行っても、まず応じてもらえません。自己破産や個人再生の申立は、がんばって勉強すれば自分だけでできないこともありませんが、任意整理の場合は、弁護士の介入が必須です。
どうしても、自分で交渉したい場合は、簡易裁判所で特定調停を申し立ててください。
当サイト内「資料室」(「任意整理の流れ」参照)
- 特定の債務だけを任意整理することは可能か?
任意整理は裁判所を通さず、直接債権者と話し合って行う債務整理です。ですから、理屈の上では借りている会社すべてを整理対象としなくても良いのです。
しかし、そのことに意味はありません。
整理対象にしなかった会社にも、信用情報(「ブラックリスト」の項参照)から債務整理をしたことはわかりますから、整理対象にしなくても、その後の新たな借入れは通常できません。
また、整理対象になった債権者から見れば、整理対象にしなかった債権者がいることは、心情的におもしろくありませんから、和解交渉がスムーズに行かない場合もあります。
住宅ローンなど、特別な事情がない場合は、全社を整理対象にするべきでしょう。
- ある程度一定の収入が見込める人は個人再生をおすすめします
作者が債務整理に入った時点では、まだ「個人再生」という整理方法はありませんでしたので、債務整理は破産か任意整理の2者択一でした。
しかし、2001年からあらたに個人再生という制度ができたことで、選択の幅が増えました。
ある程度収入が安定している人は、任意整理よりも個人再生を選択した方が、返済額が少なくなる可能性が高くなります。また、個別に各債務者と話し合う任意整理と違って、個人再生は一定の決まりごとに従って裁判所が今後の返済方法を決めますから、時間的にも短時間で済む場合が多いです。
弁護士にとっても、裁判所に定められた書類を出す個人再生の方が、各債権者それぞれと話し合う任意整理よりも効率的です。
個人再生
●破綻した企業が良く行う「民事再生」の個人版で、裁判所に一定の要件を満たした再生計画を提出し、認可してもらう方法です。
任意整理をしても3年間で返済できないほど借金が多いが、破産できない人(住宅ローンだけは引き続き払って行きたい・土地や車は売りたくない・破産の資格制限に関わる職種についている)にふさわしい方法です。
定期的に安定した収入があり、住宅ローン以外の借金が5000万円以下の人が利用できます。
●「住宅ローン特別条項」を付与して申立てることで、住宅ローンだけは再生対象の債務に含めず、これまで通り返済して行くことができるため、ローン中の家を手放さずに済みます。(家に住宅ローンの借入分以外の抵当が入っていると、利用できません)
●個人再生には「給与所得者等再生」と、「小規模個人再生」のふたつの方法があり、若干申立時の要件が異なります。
■給与所得者等再生
サラリーマンなど、毎月一定の安定した収入がある人が申立てられます。
以下の4つの金額のうち、もっとも高額な金額を、3年程度で分割返済して行きます。
1.総債務額の5分の1
2.保有資産(不動産や車など)の評価額の総額
3.可処分所得の2年分
4.100万円
給与所得者等再生は、裁判所の判断のみで認可され、債権者の同意等が不要です。このため、破産の免責不許可事由になりそうな借入がある人にも有効な方法です。
- 可処分所得 総収入から税金や社会保険料と最低限の生活費を差し引いたものが可処分所得です。最低限の生活費の額は、家族の人数によっても異なりますし、住んでいる地域によっても異なります。下記のソフトを使って各自計算してみてください。
可処分所得計算用フリーソフト (このソフトの作者松尾さんのページはこちら)
■小規模個人再生
今後数年間は、安定した収入が見込める人が申立てられます。多少収入に波のある自営業者でも利用できます。
以下の3つの金額のうち、もっとも高額な金額を、3年程度で分割返済して行きます。
1.総債務額の5分の1
2.保有資産(不動産や車など)の評価額の総額
3.100万円
小規模個人再生の場合は、給与所得者等再生と異なり、債権者の半分以上の同意が必要です。
しかし、「可処分所得の2年分」という条件がないため、可処分所得が高額になってしまうサラリーマンは、特に債権者の反対がないと見込めるなら、あえて小規模個人再生を選択することで、返済額を少なくできる可能性もあります。
また、債権者の同意を得やすくするため、上記の金額よりも、若干上乗せした再生計画を提出する場合もあるようです。
- 「車を売らないで良い」というのは、車のローンが終わって自分の物になっている場合です。ローンが終わっていない車の所有者はローン会社です。個人再生に限らず、債務整理をすれば、ローンが終わっていない車は、特別な場合以外はローン会社に返却することになります。
いちご綜合法律事務所(「債務整理総合案内」へ)
特定調停
簡易裁判所に申立をし、裁判所の調停委員に、債権者との間に入ってもらって今後の返済方法などを決めていく方法です。弁護士に委任しなくても自分で行えるので、任意整理にくらべると費用は安価で済みます。
しかし、任意整理では弁護士が行ってくれる、各債権者への取引データの開示請求や、利息の再計算などは原則として自分で行わなくてはなりません。また、調停委員がいるとは言っても、直接債権者と相対して話し合わなくてはならないこともありますので、かなりの知識と理論武装が必要です。
また、任意整理に比べると期待できる債務の圧縮額は少ないようです。
裁判所や調停委員によっても、和解結果に差が出ることもあります。
この結果、弁護士費用を含めても、債務額とあわせたトータルの支出は任意整理のほうが少なくて済む場合もあります。
さらに、特定調停後に作られる「調停証書」は「債務名義」となり、調停後に返済が滞った場合、債権者は訴訟などをしなくても、すぐに給料などを差押えることができるようになりますので、より慎重な返済計画が必要です。
奥様の借金を調停したシュリさんの特定調停日記
どの整理方法を選べばよいのか?
下記のような考え方で、自分の収支を客観的に把握して、どの整理方法が自分にふさわしいのかを検討してください。
弁護士などに相談する場合は、自分の収支さえ把握しておけば、必ずしもどの整理方法を取るかを決めてから相談に行く必要はありません。弁護士に希望を伝えることは大切ですが、専門家である弁護士のアドバイスも整理方法選択のための貴重な情報です。あまりひとつの整理方法だけに固執し過ぎず、弁護士のアドバイスを聞きながら、柔軟に整理方法を検討してください。
整理方法を選択する時、一番重要なのは借金の総額よりも、自分の「返済能力」です。
まずは収入から生活費などを差し引いて、今後毎月無理なく返済に回せる確実な金額を算出します。
この際、絶対に無理な返済計画は立てないでください。
生活費も無駄遣いを見直すことは必要ですが、極端に切り詰めても長続きしません。
病気などで1〜2ヶ月収入が途絶えても、破綻しないのが「確実な」金額です。
この金額を3年分(36回分)積み上げた額と、現在の借金総額を比較します。
借金の額がかけ離れて多ければ、自己破産を選択せざるを得ません。
ですから、債務が100万円でも、返済能力が月1万円しかなければ、破産をさぜるを得ませんし、月10万円の返済能力があれば、350万の借金でも任意整理が可能です。
債務が返済能力を少し上回る程度であれば、利息の再計算などで債務の減額が期待できるので、任意整理や特定調停を検討できます。
今後も一定の収入が見込める場合は、個人再生も検討できます。(500万円以下の借金なら、月々3万円程度の返済能力あれば可能です)
- 参考(1)
借金総額300万円の人の月々返済額(弁護士費用等は含まれません)
自己破産の場合・・・0円
任意整理の場合・・・最高約8万3000円
個人再生の場合・・・約3万円(+住宅ローン)
- 参考(2)
総務省の「全国消費実態調査」によると、家計の1ヶ月当たりの平均黒字額(収入から総支出額を引いた残金)は下記のとおりです。
●年収250〜300万円の世帯の平均黒字額・・・・1万9千728円
●年収350〜400万円の世帯の平均黒字額・・・・2万6千180円
平均値なので、地域や家族構成によって差はあると思いますが、これが返済可能額の目安になると思います。
ここから計算して、任意整理で無理なく完済できる債務額は、利息引き直し(後述)後の元金で
●年収300万円前後の人・・・90万円(5年返済が認められれば150万円)
●年収400万円前後の人・・・110万円(5年返済が認められれば180万円)
この程度が限界だと言えるでしょう。
これ以上の債務を任意整理で返済しようと思ったら、かなり徹底した生活費の見直しが必要になるはずです。
くれぐれも気合や見込みだけで、無理な返済計画を立てないようにしてください。
- 夫婦(家族)で債務を抱えている場合
債務整理は個人の単位で行います。夫は夫、妻は妻でそれぞれ個別に債務整理をしますので、合算ではなく、それぞれの債務額と返済可能額を算出してください。「妻は自己破産で、夫は任意整理」という形になることもあり得ます。
- 無理な返済計画は厳禁!!
特別な理由はなく、心情的に「破産だけはしたくない」というだけで、無理な返済計画で任意整理を強行する人は少なくありません。しかし、債務整理をすれば、何があっても絶対に借入はできなくなります。急病や失業などのリスクも織り込んで、多少の貯蓄ができる程度の返済計画を立ててください。ある弁護士の実感値では、「任意整理をしても約7割の人が完済できない」そうです。任意整理も自己破産も大きなリスクの差はありません。最初から自己破産を選択肢からはずさないで考えてください。
- 掲示板で相談するときは...
整理方法の選択には上記のような情報が必要です。ですから「借金が○○円ありますが、どうしたら良いですか?」というような相談の仕方では、こちらもアドバイスのしようがありません。
少なくとも
1.金額と社数(できれば内訳も)
2.おおよその借入期間と利率
3.現在の収入
4.そのうち返済に充てられそうな金額
5.高額資産の有無と売却の可否
この5点くらいは書いていただかないと、具体的にアドバイスをすることができません。
これらのことは、実際債務整理を行うときには必ず必要な情報です。頭で考えるだけでなく、一度紙に書き出してみてください。

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