借金女王

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返済日記

債務整理をはじめた2000年5月から、2003年8月の完済までの日記です。
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2003年5月の日記

2003年5月5日

発泡酒の酒税が上がったり、配偶者特別控除が廃止されたりして、サラリーマン家庭には税の負担が大きくなるのだそうだ。一方で、サラリーマンの平均年収額はここ数年、少しづつ減少している。
 バブルの時期、「ゆとりローン」というタイプの住宅ローンが大流行した。家の値段がもっとも高かった頃の話である。ローンがはじまってしばらくは、月々の返済額を少なく押さえ、数年後から一気に増えるタイプの住宅ローンだ。ローンを組んだ時は、30歳前後、そこから5年も経てば、役職もついて「収入が増えている」はずだ、という前提のもと、利息も含めた総額では1億円にもなろうかというマンションを、みんなこぞって買ったのだ。
 しかしバブルは崩壊し、住宅ローンの返済額が増える時期になっても、年収は増えるどころか減っている。家を売ろうにも、価格が下がりすぎていて、売っても何千万単位のローンが残ってしまう。
 バブルの時に、ローンを組んだ人も責められないし、「ゆとりローン」というローンを考え出した人も責めることはできない。あの時は、住宅価格は際限なく値上がりすると、誰もが思っていたし、所得も年々増えていくものだ、と誰もが信じていた。
 そんな人たちのために、2年前に「個人再生」という債務整理の方法ができた。破綻した企業が行う「民事再生」を個人に当てはめたような制度だが、「住宅ローン特別条項」というものがあって、住宅ローン以外の債務を大幅に圧縮し、なおかつ住宅ローンは繰延返済(要するに、ローンの組みなおし)することができる。これまで、自己破産して泣く泣く家を手放すか、相当無理な返済計画で任意整理をするぐらいしか、住宅ローンを抱えた多重債務者が選ぶ道はなかったのだが、「個人再生」という制度ができたおかげで救われた家庭は、相当いると思う。
 ところがこの制度、どうも今ひとつ世間には浸透していないような気がする。
 制度ができた時に、テレビのニュース番組とか情報番組で、どんどん取り上げてくれても良かったのに、と思う。

 「住宅ローンを抱えている多重債務者のための勉強会を開催している」という某団体のサイトから、このサイトをリンクしたというメールが来た。
 そのサイトでは、住宅ローンのある多重債務者への「裏ワザ」として、住宅を任意売却した上で、残りの債務を特定調停することを勧めている。勧めるのは構わないのだが、そうでなければ、自己破産をするしかない、というような書き方をしているのが、非常に気になった。多重債務を弁護士に相談する、という手段があることすら、まったく書かれていない。
 任意売却や特定調停を「裏ワザ」と言っているところと、それ以外の整理方法を意図的に紹介していないところが、気になったので、その点をメールで聞いてみた。
 10日以上経ってから来た返信のメールには「裏ワザ」と言うことに対しての回答はなかった。
 他の整理方法を紹介しない理由は、「紹介しない」のではなくて、どうやら「知らない」らしいことがわかった。
 「個人再生」という制度も、「住宅ローン特別条項」という制度も知らないようで、「住宅ローンを除外して弁護士に任意整理を委任すること」を、「住宅ローン特別条項をつけて個人再生を申立てること」と完全に混同している文面だった。
 大々的に「多重債務者のための勉強会」と称して活動している団体が、個人再生を知らない、ということにとてもがっかりした。
 「家を売れば楽になるかもしれないが、みんな家に愛着があって、手放したくないから悩んでいるのではないでしょうか?」という私の問いかけに対してその団体は、「本当に家に愛着がある人は、ちゃんと住宅ローンを払っている。払えないということは、家に対する愛着もその程度なのだ」というような回答をしてきた。この回答には、本当に言葉を失った。
 弁護士の中にも、個人再生がまだ新しい制度で、経験も判例も少ないことを理由に、扱いたがらない人がいる、という話を聞く。
 債務整理の相談に行っても、最初から「個人再生」という制度があることすら言わない弁護士もいるそうだ。
 
 私も、浪費やギャンブルで借金を重ね、その結果住宅ローンも払えなくなった、というような人なら、「家も売って、自己破産して、ゼロからやり直したらどうですか?」とでも言うのだが、住宅ローンのために家族で節約をし、地道に会社勤めをしてきたのに、不景気による所得の減少と、ゆとりローンの増額分が反比例してしまっているような人には、「家を売れ」などということは簡単には言えない。そういう人たちには、「個人再生」を利用して欲しい、と思う。

 このサイトもそろそろ3周年を迎える。私自身が任意整理をしたせいかもしれないが、相談に訪れる人のほとんどが「任意整理で債務を整理したい」と言う。任意整理は裁判所に行く必要もなく、一番「気軽に」感じる債務整理方法なのかもしれない。
 このサイトを作った頃はまだ、個人再生という制度はできていなかったため、何らかの理由で自己破産できない人は、無理な返済計画を立ててでも、確かに任意整理をするしかなかった。
 しかし、一定上の債務があり、特に住宅ローンを抱えている人たちにとっては、任意整理よりも個人再生の方がかなり有利なはずだ。
 FAQを読んでも、色々計算したり書類を準備したりするのが面倒だとか、官報に載るから躊躇するとか、中には裁判所に行くのが怖い、などと思う人もいるのかもしれないが、多少手間がかかったとしても、その見返りとして余りあるくらいの債務の圧縮が期待できる。
 返済額も、「話し合ってみないとわからない」任意整理に比べて、個人再生では、ある程度事前に算出することができるから、その分返済計画、ひいては家計の計画も立てやすい。
  年収より債務が同等か多い人や住宅ローンがある人で、向こう3年間はある程度の収入が見込める人は、任意整理よりも、まずは個人再生を検討してみて欲しい。

2003年5月23日

東京都が銀行を作るそうだ。
 中小企業向けに、無担保融資などができるように検討しているそうで、相変わらず都市銀行の「貸し渋り」「貸し剥がし」に遭っている経営者にとっては朗報なのかもしれない。
 一方で気になるのが、「JR東日本と提携し、ICカードで決済業務をする」というところだ。
 東日本にお住まいの方は知っていると思うが、JR東日本は「ビューカード」というクレジットカードを発行している。ひょっとすると「東京都民ビューカード」などというものができるのかもしれない。
 ビューカードは、JR東日本が子会社化することもなく、直接自社発行している。鉄道会社が「信販業務」という「異業種」に進出しているわけだ。私も7〜8年前、このカードを持っていて、当時全国を回る仕事をしていたので、JRや飛行機のチケットが買えるこのカードはかなり重宝していた。しかし、間もなく失業してしまい、このカードでお金を借りてしまった。当時はまだ、銀行系も信販系のATMも、遅くても夜7時くらいには閉まっていたので、始発から終電まで稼動している、駅構内のビューカードのATMがありがたかったのだ。
 そして、返済が滞りはじめてきた頃、どの信販会社よりも、一番激しい督促の電話をしてきたのが、このビューカードだった。多重債務者の方なら、督促の電話に対して、「銀行が開いている時間に銀行に行けない」というような言い訳をしたことがある人は少なくないと思うが、ビューカードにはこの言い訳は通用しない。「始発から終電まで開いているATM」で返済できるからだ。「何月何日に○駅のATMから○円返済します」とハッキリ言うまでは、何度でも電話がかかってきた。
 私はそんなにたくさん借りていたわけではなかったし、督促が厳しいので優先的に返済をし、債務整理に入るずっと前に完済してしまったのだが、何回か延滞してしまったから、多分一生ビューカードは持てないのだと思う。
 そのビューカードが東京都の決済機能を持ち、そのうちIDカードのように使われるようになったら、私はもう東京に住むこともできなくなってしまうのかもしれない。
 ここ数日、このサイトのゲストブックで、海外でクレジットカードが身分証明書なるとか、クレジットカード付の社員証を発行する会社がある、ということが話題になっていて、債務整理をしてカードが持てなくなると、借金をする意志がなくても、社会生活上支障を来たすような世の中になりつつある、ということを実感していた。
 私の住んでいる市では、市民にICカードを発行している。今はまだ試用段階で、希望者だけが持っているのだが、住民票や印鑑証明書を、自動交付機で発行してもらえたり、PCにカードリーダーをつないで、ネットで公共施設の利用予約ができたりする。また、このカードには、「地域通貨」もプールされている。この地域通貨は、現在は、おもに市民同士の交流(たとえば、リサイクル品を売買した時の代金の代わり)のために使われているが、一部登録されている店舗では、現金の代わりとして使うことができる。ということは、このカードも、少し進化すれば、IDカード(身分証明書)兼クレジットカードになり得る。
 だから、この東京都の銀行のニュースを聞いた時、 私の中では、ゲストブックで話題にしていたことと、私の市のICカードが結びついてしまって、今更ながら、借金を重ねてしまった過去を悔いる気持ちが改めて沸いてきた。
 だからと言って、今、債務整理を考えながらここまで読んできた人が、「やっぱり債務整理はやめよう」と思うのは、大間違いだ。
 よく、「債務整理するからブラックリストに載る」と勘違いしている人がいるが、債務整理をしなくても、延滞を繰り返せば同じようにブラックリストに載るし、返済のために新しく融資を申し込むだけで信用情報に登録される。申し込んだが融資を断られた、ということも登録されている。つまり、債務整理することを、検討しなくてはならない人の大半は、債務整理するまでもなく、すでにブラックである可能性が非常に高いということだ。
 そうであるなら、なるべく早く債務を整理して、なるべく早くブラックリストから消えることを考えるしかない。債務整理は、そのためのとても有効な手段の一つだと言える。
 本当に、カードなしでは生活に支障が出るような時代が来る前に、一刻も早く、今の債務の整理に取り組んで欲しい。

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